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破壊すべきダムがあるかぎり 
“ダムバスター”は挑戦し続ける 

アメリカ全土につくられた7万5千基のダム。それらの多くは、川を変貌させ、魚を絶滅させ、それにもかかわらず期待される発電・灌漑・洪水防止のいずれにおいても低い価値しか提供していない。むしろダムの維持には高い経済的コストもかかっている。そんな負の面ばかりのダムを「撤去」する選択が、アメリカでは現実になってきた。だが「ダム撤去」が当たり前に語られるようになるまでには、「クレイジー」と言われながも川の自由を求め続けてきた人びとの挑戦があった。彼らのエネルギーにより「爆破」が起こるドキュメンタリー。 

自然の良さは人間が何もしなくてもいいこと。 
ただそのままにしておけばいい。 

地球の血管にも例えられる川。ダムが及ぼす影響は、私たち生き物すべてに及ぶ。ダムが撤去されたとき時、川は解放され、みずから元の姿に回復していく。本作品が映し出す川の生命力と美しさは、人間も自然の一部なのだということを改めて気づかせてくれる。そして、技術により自然を征服してきた過去と決別し、新しい未来をつくりだす希望の光を見せてくれる。製作責任者はパタゴニア創業者のイヴォン・シュイナード。共同プロデューサーは生態学者で水中写真家のマット・シュテッカー。

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市政30周年記念映画祭

上映日:2021年12月12日(日)

​終了しました!

    MESSAGE from 三宅洋平((仮)ALBATRUS/NAU代表)

     

    これは、あらゆる環境運動に関わっている人々に、
    あるいは国の現状を憂いてそれを変革しようと小さな足掻きを営んでいる人々に、
    必ず観てほしい映画である。

    僕が2013参院選で主張した「破壊から再生の公共事業へ」を、
    まさに地でいく動きが今、破壊のオオモトである米国で起きている。
    環境にも経済にも不利益しかもたらさなくなった巨大ダムを、
    破壊して自然の河川に戻す事業が進んでいるのだ。

    米国では7万のダムが、日本にはおよそ3000のダムが存在する。
    支川も対象に入れると、日本の一級河川でダムのない河は存在しない。
    かつては電力供給の重要な利器だったダムだが、
    今では必要のなくなったダムや、治水上悪影響のダムも多くなっている。
    (今でも電力の17%は水力である。)

    僕は、山が持つ自然のダム機能を保全し、林業が盛んになる事が、
    これからのトレンドになっていくべきだと思っている。

    ダムを自然の河川に戻す公共事業は、とても簡単。
    ダムを破壊して撤去するだけだ。
    あとは、大自然の雄大で神秘的な力が、複雑に入り組んだ機能と生態系を独自に取り戻す。
    わずか数年で、数匹から数千匹まで「戻り鮭」が復活した事例は、多くの日本人にも知ってもらいたい。

    その時代的潮流を獲得するまでに、どれだけ情熱的に、クリエイティブに、
    そして科学的かつ政治的に人々が動いたか、というこの記録は、
    昨今あふれかえるどんなフィクション映画、アニメにも増して、僕にはスペクタクルを感じさせてくれた。
    日本の環境運動に(或いは社会に)、決定的に欠如している
    「とんちとユーモア」をまざまざと見せつけられる。

    映像の素晴らしさも相まって、何度も観たくなる。
    パレスチナHIPHOPを描いた『自由と壁とヒップホップ』以来、今年2発目の、ビッグヒットである。

    「全日本人、必見!」と云わせてもらおう。
    この映画の製作に資金を出した、パタゴニア社に心からの敬意を払いたい。

    映画『ダムネーション』 – DAMNATION

    今や諸悪の根源は、一人一人の小さな無責任。
    今を生きる私達が気付き、動き出さなきゃならないんだ!

    – 伊勢谷友介(俳優/映画監督/株式会社リバースプロジェクト代表)

    MESSAGE from 谷口けい
    (パタゴニア・アルパインクライミング・アンバサダー)

     

    この地球上に生命を授かった人間たち全てにこの映画を見て欲しい…!って思った。
    この映画は、川とダムと魚と、それを取り巻く人間たちが舞台となっているけれど、
    それだけにとどまらずこの作品を通して、山も川も海も美しく、
    そこに生きる生命の営みはとてつもなく愛おしく美しいものなのだと、改めて考えさせてくれた。

    魚たちは産卵のために、海から何千キロも旅をして、
    幾つもの滝を飛び越えて、生まれ故郷の川へと戻って来る。
    それは痛々しいほどに美しく、神秘的な生命の営みだ。
    繰り返されてきたその行為は、ダムによって突然破壊されてしまった。
    川や魚と共に生きてきた、そこに住む人たちの歴史も習慣も、
    同時に破壊されてしまったってことだ。

    ダムによって得られたものは何だろう?
    そして、ダムによって失われたものは?
    川は誰のもの?
    そこに流れる風の声を聴いてみたくはないか?
    本当の財産って何だろう?
    水力発電も原子力発電も、人間のエゴであることは同じ。

    この映画には、伏線で色んなメッセージが織り込まれていると気付かされる。

    ダム撤去の動きが高まり、いくつかのダムが撤去され始めた。
    それによって、淀んでいた水が流れ始め、99年ぶりにサケが戻ってきた川もあるという。
    水の底に沈められた森も戻って来るだろうか。

    幾つかの、ダイナマイトによるダム破壊のシーン。
    その瞬間が、私は恐ろしくてたまらない。
    作らなければ、破壊しなくて済んだのに。。。

    その一方で、ダムに抗議する人たちのユーモア溢れる行動と熱い想いが、気持ちを和らげてくれる。
    情熱と芸術が、川を救った—

    飛行機よりも鳥を選び(by C.Lindberg)、
    電力(ダム)よりも魚を選ぶ、
    そんな人で自分もありたい。

    やっとダムは壊すものになった。原発もそうなる。
    雇用はなくならない!どう自然に戻すか?
    新たな知恵や技術が産まれ、未来に感謝されるクリエイティブな仕事になる。
    日本もダムがない川がなくなって久しい。
    八ッ場や最上小国川など未だ強引に汚い手段で無駄なダム計画が!
    この映画を見て、アナタもNOと言って欲しい!

    - 高坂勝(「たまにはTSUKIでも眺めましょ」オーナー/「減速して生きる―ダウンシフターズ」著者)

    飯田哲也(ISEP 環境エネルギー政策研究所 所長)

     

    この映画で次々に壊されていくダム(水力発電)は
    「再生可能エネルギー」の一つなのだが、
    「旧い再生可能エネルギー」として位置づけられ、
    国際的にもこれ以上は増やすべきではないことがコンセンサスになっている。
    背景には、太陽光発電や風力発電など「新しい再生可能エネルギー」が
    コスト的にも量的にも十分に代替を期待できる勢いで
    普及している現実があるからだ。

     

    それにしても、ダムが逆回しのフィルムのように壊されていく映像は、
    いろいろなことを教えてくれる。
    人の価値観は変わってゆくということ。
    かつてはダムを「成長と豊かさ」の象徴と考えていたが、
    今では多くの人が、ダムを壊して取り戻す自然な河の方が
    「豊か」に感じるようになった。
    移ろったのではなく、成熟したのだ。
    また、かつてダムで自然を壊すという過ちを犯したが、
    それは改めることができ、そして自然は再生されてゆく。

     

    さて日本は、未だに何百ものダムが計画され、次々に作られ、
    未だに「ダムネーション」を脱却できない。
    あれだけの破局的な事故を引き起こしながら原発も脱却しようとしない。

     

    そうした日本からの転換のヒントがこの映画にはあると思う。

    映画『ダムネーション』 – DAMNATION

    星川淳

    (作家・翻訳家/一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト理事長)

     

    ダムが建設される場所は、聖域と呼んでもいいくらい瑞々しい自然が息づいている。動植物だけでなく、古くからのヒトの営みが刻まれていることもある。それを巨大なコンクリートの壁と人造湖で覆い尽くした時代を問い直し、小さな歩みを重ねて水の聖域を蘇らせようとする――すぐれて政治的な映像表現なのに、“自(おの)ずから然(しか)るもの”に対する作り手たちの愛と畏敬が、生命の息吹を呼び込んで、新しい世界へのインスピレーション(吹き込まれる息のような創造的啓発)を誘う映画だ。

    水は地球の血液であることを、雨→森→沢→海→雲という水循環が日々、目の前でめぐる屋久島で暮らして学んだ。この作品では、地球の血管である川が滞れば、自然も、その一部である人間も変調をきたすと語っている。

    サケが森をつくることを、この映画に登場するダムの多くが立地された北米北西部の原生自然に触れて学んだ。かつては東日本から北海道にかけての森も、川を深く遡上して産卵し、死骸を流域の肥やしにするサケが養ってくれたのだろう。

    川が砂浜の補給源であることを、日本で産卵するウミガメの3分の1が上陸する屋久島の浜の危機から学んだ。1970年代に痩せ細った浜は、河口で浚渫した砂の土木工事流用をやめたために後退が止まり、いまなお日本最大のウミガメ産卵地の座を維持している。むしろ日本列島の他の砂浜が、ダムによって堰き止められた川から砂の補給を受けられず、ウミガメの産卵に耐えないほど後退してしまったおかげで、屋久島がかろうじて残っただけかもしれない。

    DAMNATION――「ダム(ばかり)の国」と「破滅・天罰・非難」とを掛けたタイトルの巧妙なひねり。そのひねりを解こうという映画の呼びかけに、心から賛同する。

    多雨に加えて急峻で狭い国土に人口がひしめく日本では、ダムの必要性に関する評価は米国とは異なるだろう。しかし、正確なデータと情報を共有して開かれた検討を行えば、撤去すべきダム、作らなくていいダムは少なくないはずだ。多くの場合、用水・発電・治水のいずれも、水系を断ち切る大規模なダムや堰堤に頼らない方法があるし、21世紀にはさらに自然共生的な選択肢が増えていくことを期待したい!

    映画『ダムネーション』 – DAMNATION

    杦本育生(認定NPO法人環境市民 代表)

     

    かつて発電、灌漑、洪水防止などを目的に、
    アメリカでは75000ものダムが造られた。
    しかし現在において多くのダムは、その機能を大きく低下させている。
    そして生態系を分断し、人々が魚を獲り、川に親しむこと阻んでいる。
    ダムに関わる多様な人々の証言と、過去と現在の映像によって、
    淡々とダムの現代における課題を浮き出していく。

    そして川を愛する人々の様々な行動によって、
    ダムを撤去することが「クレイジー」なことから
    ごく当たり前のことに変わってきたアメリカ社会の価値観の変容を映し出す。

    再び大規模なダム建設を進めようとする日本社会のありようを
    振り返らせてくれる、日本で川に関わる人、ダムに関わる人に
    ぜひ観てもらいたいドキュメンタリーである。

    佐藤潤一

    (国際環境NGO グリーンピース・ジャパン 事務局長)

     

    ムダなダムを建設して自然を壊すことではなく、
    ムダなダムを壊して自然に戻すこと。
    それが今後のダム事業の主流になってほしい。
    映画『ダムネーション』を観ると、その夢が実現可能なものであることがわかる。

    日本でもダムを壊して自然に戻す事業がようやくはじまった。
    熊本県を流れる球磨川の荒瀬ダムが、今まさしく撤去されている最中だ。
    この国内初のダム撤去も、地元の人々の地道な活動で実現できたものだ。
    ダム撤去とともに、球磨川の流れが回復していくのを見ると、
    自然の力強さと壮大さを実感する。
    これを良い事例として日本各地に広めたい。

    一方で、国内では各地でまだまだ無駄なダムが建設されようとしている。
    川の流れを悪化させるのはダムであるが、社会の流れを変えるのは市民のパワーだ。
    日本の河川にも自然な流れを取り戻そう!

    内山節(哲学者)

     

    かつて川は流れとともにあった。
    その流れのなかではさまざまな生きものたちが暮らし、
    川の流れは人の暮らしを結んでいた。

    人間は自然を活用しながら生きている。
    しかし自然とともに生きることを忘れた利用は、
    自然を破壊するばかりでなく、人間からも大事なものを喪失させていった。
    人と川をめぐる近代史はそんな歴史だった。

    川がダムによってずたずたにされていく歴史は、
    傲慢な人間社会をもつくりだしていく歴史でもあった。

    この映画はダムの撤去に情熱を注ぐ人々の物語である。
    鮭の暮らせる川を取り戻すことが主題になっている。
    だがそれだけではない。
    川の流れを取り戻し、鮭たちの世界を回復させることをめざす生き方のなかに、
    人間としての失われた何かを取り戻すプロセスがあることを、映画は静かに訴えかける。

    自然な川とともに生きようとする活動のなかに、
    人間たちが手放してはいけない大事なものの回復があることを教えてくれる。

    まさのあつこ(ジャーナリスト)

     

    クール!川への愛しさとワクワク感と切なさが交互に訪れる。
    最後は大笑いだ。
    発電事業者、河川官僚、ダム技術者、管理者、
    考古学者、冒険的なアーティスト、詩人、釣り師、カヌーイスト、
    公益通報者、漁協組合員、水産官僚!とにかく多くの人に見てもらいたい。

    フランクリン・ルーズベルト大統領が「世界一のダム」と誇って以来の
    米国のダム建設と撤去の歴史を多様な立場から見せ、しかも、
    ダム建設とダム撤去の双方で行われる「養殖」がもたらす課題にも
    新たに疑問を投げかけている。

    ある登場人物が問いかけた「どのダムが役に立っているかを再考しないのは、
    愚かなことだ。経済的、文化的、景観的、生態学的に価値があるか?」は、
    多くの新たなダム建設に取りかかろうとしている日本でこそ投げかけたい問いだ。

    映画『ダムネーション』 – DAMNATION

    枝廣淳子(幸せ経済社会研究所所長)

     

    山と海はつながっています。
    山の栄養を海にもたらし、海からサケなどが遡上することで、
    山に栄養を届ける「いのちの流れ」を、ダム建設で断ち切り、
    生態系・文化・歴史・こころを損なうことの愚かさ。

    そして、100年たったあとでも、
    ダムが撤去されればサケがさかのぼる川に戻ることのできる、
    自然のレジリエントな強さ。

    「とっぴ」「急進的」「クレージー」と呼ばれても、
    勇気のある人の行動が変化を創り出す素晴らしさ。

    「人間には自然を制御したいという欲求がある」――
    そして、人間には美しいものを守りたい、不公正は許したくないという欲求もあること。

    日本にも2700を超えるダムがあります。いろいろなことを深く考えさせてくれる映画です。

    映画『ダムネーション』 – DAMNATION

    岩上 安身(ジャーナリスト / IWJ代表)

     

    ダムは莫大な貯水と発電を生み出すと同時に、多くの雇用を生み出す。

    しかし、この映画が私たちに示唆するように、
    ダムを作るということは、人間が自然を切り開き、
    なかば暴力的に介入することをも意味する。

    この映画を見て私が考えたのは、
    2020年東京オリンピックのメーン会場となる新国立競技場の建設問題のことだ。
    豊かな神宮の杜を暴力的に切り開き、まるでダムのような巨大な競技場を作ることは、
    予算や景観の問題など、多大な問題をはらんでいる。

    自然に対して人間が介入する時、
    私たちはそれが本当に正しい判断なのか、立ち止まって考える必要がある。

    映画『ダムネーション』 – DAMNATION

    龍村 仁(映画監督)

     

    私達が、その風景を前にして一瞬「これは美しくない」と感じる時、
    そこには私達人類の生き様と地球(ガイア)の生命システムとの間の乖離が秘んでいる。
    しかし、私達はその「美しくない」と感じる直感を
    「これは自分の個人的な情緒に過ぎない」と無理矢理押え込んで、
    その「美しくない風景」を受け入れようとする。
    その風景を作ったのは自分達であり、その恩恵も受けていることを知っているからだ。
    こうして21世紀を生きる私達人類は“美しい”地球(ガイア)の生命システムから乖離し続け、
    そのことに依ってストレスを溜め込み、今や絶滅の危機に瀕している。

    ある風景を前に「美しくない」と感じる直感力は、単なる個人的な情緒ではない。

    母なる星地球(ガイア)の超高度な生命システムの一部分として生かされている私達自身の
    内側から聴こえてくる地球(ガイア)からの警告である。

    私達は、自分の“美しくない”と感じる直感力にもっと自信を持たなければならない。

    “美しい”と感じることのできる自分に感謝しなければならない。

    この映画は、母なる星地球(ガイア)の超高度な生命システムの“美しさ”を身をもって知り、
    自分自身がその“美しさ”に生かされている事に気付き、
    その“美しさ”を21世紀に甦らせようと葛藤する人々の記録である。

    「私にとって“美と多様性”は同義語だ」と喝破したのは
    世界的な宇宙物理学者フリーマン・ダイソン(地球交響曲第三番)だ。

    「私にとって“神”とは、大自然の超高度なメカニズムの実態のことだ」と言ったのは、
    一粒のトマトの種から遺伝子操作も特殊肥料も使わず、
    1万5千個も実のなるトマトの巨木を育てた直物学者野澤重雄さん(地球交響曲第一番)だ。

    巨大ダム・巨大防潮堤・原子力発電所はみな”美しくない”。

    映画『ダムネーション』 – DAMNATION

    「ダムネーション」に登場する環境保護活動家たちはなんとまあ過激なことか。
    そのぶれないあり方、それに対する自治体の柔軟な対応、
    アメリカの底力を感じさせる。
    Free to flow!
    住民の強靭な意思がシャケを水と共に解き放つ、なんという喜び・快感!!

    – 鎌仲ひとみ(映像作家)

    映画をみて、腑に落ちました。ダムが美しくない理由が。
    そして驚きました。ダムが撤去された流域の、その美しさに。

    川は血管で、魚や植物は細胞。流域全体で一つの生き物なんですね。
    人間もその一部。
    僕は健康で美しい社会を、子どもに残していきたいと強く思いました。

    – 鈴木菜央(NPOグリーンズ代表/greenz.jp編集長)

    ぼくが、ライフワークとして続けているフライフィッシング。
    その究極のターゲットはサーモン。
    “母なる海” と”豊穣の森”をつなげる神だ。
    これは、この神の荘厳さと、人間の愚かさを描いた、深淵なるドキュメンタリー。
    そして、人間こそが美しいことを教えてくれるアート作品でもある。

    – 四角大輔(森の生活者・アーティストインキュベーター)

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